■得点に結びついたチームの約束事

 大一番に臨んだ広島には「クロスはニアへ」という約束ごともあった。さらにファーにも必ず別の選手が飛び込む形も共有されていた。パシエンシアが先制点をあげた場面では左ウイングバックの東俊希が詰めていた。中野が声を弾ませる。

「ニアに速いボールを入れれば何かが起こる、という思いを込めたクロスがアシストになってうれしいですね。ファーのスペースに別の選手が飛び込むのもチームのなかで統一されていたので、それらのすべてが得点につながったと思います」

 桐蔭横浜大から加入して2年目の24歳は、ルーキーイヤーからリーグ戦で45試合続けて先発に名を連ねている。32試合を終えた今シーズンの広島のフィールドプレイヤーで、ここまで全試合で先発しているのは中野だけとなっている。

 しかも、プレー時間の合計2809分は、フルタイム出場した2880分の実に97.5パーセントに達する。文字通りの鉄人は3バックの右を主戦場に、荒木隼人が負傷離脱した序盤戦では中央も担うなどマルチな活躍を演じてきた。

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