J2は、今シーズンも激戦が続いている。残るは6節となっているが、J1昇格プレーオフにどのチームが進むのか、まったく見えてこない。その中で、サッカージャーナリスト後藤健生が注目するチームがある。前身の時代から名門として知られた、ジェフユナイテッド千葉である。
■J1昇格「城福浩監督」と似ている点
一貫して、自分たちが目指すサッカーをひたむきに追及する。それが「主役は選手。僕がプレーしてはいけない」と語る小林慶行監督のチーム強化である。
昨年の昇格プレーオフ準決勝で千葉を破ってJ1昇格を勝ち取った東京ヴェルディの城福浩監督や、かつて湘南ベルマーレで攻撃サッカーを貫いた曺貴栽(チョウ・キジェ)監督(現、京都監督)のやり方にも似ているような気がする。
監督から選手たちへの要求もシンプルで、明確で、具体的で分かりやすいのだろう。新加入の選手も含めて、チーム全体のベクトルもぴったりと合っている。
成長した選手の筆頭が、レノファ山口戦でハットトリックを達成して、今シーズンの得点を19とした小森飛絢だろう(山口戦の後、JR蘇我駅に向かうサポーターたちの間では「小森がヨーロッパのクラブに抜かれてしまった後のこと」が話題になっていた)。
北信越リーグの雄、新潟医療福祉大学在学中の2022年に特別指定選手として千葉でJ2デビュー。昨年、千葉と契約した24歳である。
フィジカル的な強さとテクニックを持ち、前線でボールを収めることもできるし、自ら持ち込んでのシュート、こぼれ球に対する反応とも良い総合的なCFである。このまま成長していけば、日本を代表するFWとなり、サポーターたちの心配の通り、ヨーロッパのクラブやJ1の強豪に引き抜かれることもあるだろうし、代表入りの可能性もある。山口戦のハットトリックは、彼の成長のためにも良かったのかもしれない。
山口戦では、横山暁之が2トップ(あるいはトップ下)で小森と組んでいたが、総合的CFタイプの小森と、小森の周囲を動き回る横山との関係性も非常に良かった。