「動揺しないで、やり続けよう」
川崎フロンターレの鬼木達監督は、1点を追うチームにこう呼びかけた。
その失点は、スーパーゴールだった。川崎フロンターレが名古屋グランパスと対戦したJ1リーグ第31節の前半34分、ペナルティエリアの外でボールを持っていた永井謙佑は、目の前にいた橘田健人もゴールを守っていたチョン・ソンリョンも関係なく見事な弾道のシュートを決めてみせた。スタジアムに駆け付けた名古屋サポーターの反応もやや遅れるほどのゴラッソ。名古屋がこの得点で勢いづいたのは明白だった。
永井謙佑の速さは、川崎にとって守備をする上での大きな要素だった。そして、失点の前にも同じコンビネーションからゴールを許しかけていた。それは前半9分頃の場面で、椎橋は川崎陣内でスルーパスを送る。永井はここでも快速を見せて右CBと右SBの間を突いてシュート。ゴールネットを揺らしたものの、わずかにオフサイドの判定となっていた。
2つのパスを出した椎橋慧也は、「多少浮いてても、(永井)謙佑さんならやってくれると思うので、ちょっと雑になっても出せるようにしたい」と絶対的な信頼感を根拠に、常に狙い続けたという。