■川辺駿と満田誠が語る新FWへの期待感
そこで見る者の目を引いたのが、今季リーグ初先発となったポルトガル人FWゴンサロ・パシエンシアだ。
9月2日の広島加入後、ここまで2試合に途中出場していたが、スタートから1トップに陣取り、ターゲットマンとしてボールを収め、DFのギャップに侵入。打点の高いヘッドをお見舞いするなど、圧倒的存在感を発揮する。これには鹿島の植田直道、関川郁万の両DFも脅威を感じたに違いない。
「周りを生かせる選手だというのは練習から感じていた」と川辺駿が言えば、満田誠も「タイプの違うFWが入ってきたので、攻撃の幅が広がる」と前向きに語る。大橋祐紀が移籍し、ピエロス・ソティリウが負傷、ドウグラス・ヴィエイラの調子が上がらない今、世界基準の違いをもたらせるFWが加わったことは非常に大きな意味を持つ。それはスキッベ監督以下、チーム全員の共通認識だろう。
そのパシエンシアは早速、ゴールという結果も残してみせる。知念慶の一撃で1点をリードされた前半19分、新井直人の右CKにドンピシャリのタイミングでヘッド。マークについていた柴崎岳の頭1つ分、打点の高い同点だった。
「父親として初めて娘にゴールをプレゼントできたんで嬉しかった」とイケメンFWは微笑んだ。それ以外にも巧みにスペースに侵入してフィニッシュに行くなど、前半だけで6本ものシュートを放っており、57分という短いプレーとは思えないほど鮮烈なインパクトを残したのである。