■他の候補は菅原由勢、高井幸大か

 一方で、右CBに板倉以外の人材が入ることも想定しておいた方がいい。中国戦で途中出場した高井幸大(川崎)、4バックの右SBを本職とする菅原由勢(サウサンプトン)あたりが候補者で、仮に菅原がこの位置を担うのであれば、1つのチャレンジになる。

 ご存じの通り、伊東と菅原は2023年に発足した第2次森保ジャパンで右のタテ関係を形成。お互いに特徴を知り尽くしている。ただ、ポジションが変わるとお互いのバランスも微妙に変化する。そこにボランチや右シャドウの選手も絡んでくるため、迅速な適応力が求められてくる。

 森保監督としても、新天地・サウサンプトンで定位置を確保している菅原をどこかで使いたいという考えは強いはず。伊東を途中で下げて菅原を右WBに据える、あるいは4バックにシフトして右SBに起用するなど、さまざまなプランはあるが、3バックの右もトライさせておいた方がベター。「3バックになったから菅原はベンチ」という状況はあまりにももったいない。彼に最終予選を経験してもらうことは、今後にも確実につながってくる。そこは強く意識してもらいたい。

 失敗が許されない公式戦で、勝ちながら選手起用のバリエーションを増やしていくというのはハードルが高いが、それをやり切ってこそ、本気でW杯優勝を狙えるチームになれる。指揮官のマネージメント力に改めて注視していきたいものである。

(取材・文/元川悦子)

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