■「何度でも試合で使いたいと思わせてくれる」
長崎は69分から10ゴールをあげているFWファンマ・デルガドを投入し、先制点をあげているMFマテウス・ジェズスとの2トップに代えていた。相手アタッカーが秘める一発へ、細心の注意を払った末に手にした勝ち点1を、指揮官は「昇格、優勝という命題があるなかでの最低限の結果」ととらえている。
昨シーズンの清水は2位のジュビロ磐田に勝ち点1差の4位でJ1への自動昇格を逃し、プレーオフ決勝では東京ヴェルディと引き分けて昇格をも逃した。3位で追ってくる長崎との勝ち点差8ポイントをキープした試合後の公式会見では、10試合続けてノーゴールが続く北川にも全幅の信頼を寄せている。
「このクラブを小さなころからずっと見てきて、このクラブで育ってきた私たちのエースでありキャプテン。もちろん本人が誰よりも得点を取りたいと思っているだろうし、実際にフィニッシュのシーンも数多くあるので、あとはケチャップと一緒でいつドバッと出るかどうか。1週間の準備でやるべきことをしっかりやっているし、日常的に取り組む彼の姿勢を信頼しているからこそ、何度でも試合で使いたいと思わせてくれる。最大限の信頼をしながらラスト9試合、航也とともに戦いたい」
台風10号の影響で中止となり、18日に延期された徳島ヴォルティス戦を含めて残り9試合。細心と大胆さが融合された采配に「信頼」の二文字も加えながら、2シーズンぶりのJ1昇格へ向けて、清水がラストスパートに入る。
(取材・文/藤江直人)