【勝利に飢えるJ2清水。選手と監督が抱く思いとは(2)】秋葉監督が「何度でも試合で使いたいと思わせてくれる」と語る全幅の信頼と、ラスト9試合に込めた決意の画像
清水エスパルスの秋葉忠宏監督 撮影:中地拓也

 ゴールどころかチャンスの匂いさえ、まったく漂っていない状況から、清水エスパルスの同点ゴールは生まれている。ホームのIAIスタジアム日本平にV・ファーレン長崎を迎えた7日のJ2第30節。輝きを放ったのはMF乾貴士だった

 長崎に攻め込まれていた50分。DF山原怜音のクリアが相手に当たってコースを変え、自陣の中央にいた乾のもとへわたった。右足を軽くあてたワンタッチでボールを自身の前へと運んだ乾の選択肢は、ひとつだけしなかった。

「ボールを受けた瞬間からと、自分で前へ運ぼう、というイメージがありました。自分がフリーなのも、前にスペースがあるのもわかっていたので」

 迷わずにドリブルを仕掛ける背番号33に誰も追いつけない。必死に戻るディフェンス陣もむやみに飛び込めないまま、乾はハーフウェイラインを越えて、一気に長崎のペナルティーエリア前まで、実に60メートル近くを駆けあがった。

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