ある意味ではそれまでで最も大きな歓声が、埼玉スタジアムを揺るがしたといっていい。2026年の北中米W杯出場をかけて、5日に行われた中国代表とのアジア最終予選の初戦。日本代表が大量4点のリードを奪って迎えた63分だった。
それまで1ゴール1アシストを決めていた左ウイングバックの三笘薫(ブライトン)に代わって、伊東純也(スタッド・ランス)がピッチに立った。1月24日のインドネシア代表とのアジアカップ・グループステージ最終戦を最後に、ファン・サポーターの前から姿を消していた勇姿の帰還を誰もが待ち焦がれていた。
「やはりモチベーションが上がりましたし、本当に嬉しかった。自分が入る前からいい流れだったので、それに乗り遅れないように、という思いでした」
大歓声に魂を震わせた伊東は、14分後にさらにスタンドを熱狂させている。それまで堂安が務めていた右ウイングバックに伊東が、堂安に代わった前田大然(セルティック)が左に入った布陣で、「14番」が輝きを放ったのは77分だった。
ペナルティーエリア内の右側でMF久保建英(レアル・ソシエダ)からパスを受けると、振り向きざまに左足を一閃。中国DFの左足に当たったシュートはコースを変えて、相手キーパーの逆を突いてゴール左隅へ吸い込まれていった。