ワールドカップ(W杯)最終予選が始まるたびに、最初で躓く傾向が強かった日本代表。2016年9月のUAE戦(埼玉)と2021年9月のオマーン戦(吹田)の敗戦は顕著な例だった。
「自分たちの力をしっかり出せば勝てるというのは試合前から思っていた。前回負けていることを気にせず、いつも通りの準備をした」とキャプテン・遠藤航(リバプール)は強調したが、全員が過度な警戒心を持つことなく、自然体を貫いたことが、7-0という爆発的な勝利につながったのだろう。
とはいえ、試合は開始前から波乱含みだった。キックオフ直前に審判のVARとの交信に使用する無線機器が不具合を起こし、スタートが5~6分遅れたからだ。日本代表の”聖地”・埼玉スタジアムは幸運の地として知られるが、2001年のオープンから23年が経過し、さまざまな部分で老朽化が起きているのかもしれない。
DAZN解説を務めていた中村憲剛氏(川崎FRO)も「いつも通りじゃないスタートになるのは間違いない」と不安視していたが、不穏なムードを払拭したのが、左ウイングバック(WB)に陣取っていた三笘薫(ブライトン)だった。2023年9月のドイツ戦(ヴォルフスブルク)以来の代表戦スタメンとなった彼はいきなり積極的な仕掛けを次々と披露。中国を受け身にさせることに成功する。
「ボールを持った時はウイングの立ち位置を取って高い位置で仕掛けるように言われていた。自分自身としては、WBでもウイングでもやるべきなのはチームの勝利に貢献すること。そこは意識してまずは守備から入りました」と冷静に戦況を捉えながら、随所に突破力を発揮していた。