■葬り去られたブラッター色と「新たなテーマ」
FIFAは2015年のスキャンダルを受けて2016年に大きく組織が変わり、その後、数年のうちに「ブラッター時代」のものは徹底的に払拭された。1994年にアメリカのワールドカップ組織委員会からFIFAに寄贈された「FIFAアンセム」まで抹殺してしまったのは馬鹿げたことだったと思うが、ブラッター色の濃い「フェアプレー・キャンペーン」が葬り去られたのは、仕方がなかったかもしれない。
現在、FIFAは「FOOTBALL UNITES the World(サッカーは世界をひとつにする)」というキャンペーンを行っている。マークはハート型で、キャンペーン自体のテーマカラーはない。ただ、試合前に使われる旗の地の色は「水色」である。
「フェアプレー」は死語ではないが、以前ほど祭り上げられなくなっているのかもしれない。最近は、「フェアプレー」の原点でもある「リスペクト」をサッカーの価値を高める重要な要素であることが意識され、キャンペーンのテーマを「リスペクト」とする組織も増えている。
日本サッカー協会も「リスペクト・プログラム」を推進し、国際試合のときには「RESPCT~大切に思うこと」という文字を入れた紺色の「リスペクト旗」を先頭に選手入場のセレモニーを行っている。