サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回のテーマは、黄色か、青か―。
■スペイン遠征で目撃した「フェアプレー旗」
2001年4月にフィリップ・トルシエ監督率いる日本代表がスペインに遠征し、スペイン代表と対戦した。そのとき試合前に登場した「フェアプレー旗」を見て、私は目を見張った。黄色ではなく、青だったからだ。
真っ青な旗にボールをける人の姿が黄色で染め抜かれ、そこに「JUEGO LIMPIO(スペイン語で「フェアプレー」)」の文字。私はうなった。「そうか、スペインではフェアプレーのイメージは青なのか」と、目からウロコが落ちる思いをしたのである。
アジアサッカー連盟(AFC)は長く試合時にFIFAのフェアプレー旗を使用していたが、2007年のアジアカップ(東南アジア4か国開催)を前に独自のフェアプレー旗をつくった。それも「青」だった。
青は空や海、水の色である。そこから「冷たさ」や「悲しみ」を感じさせる色と言われている。しかし、その一方で、清潔感や公正さといったポジティブなイメージもあり、考えてみれば、「フェアプレー」にピッタリと重なる。
「青春」という言葉があるためか、日本人は青が大好きだ。ある調査では、青を「いちばん好きな色」とする日本人の割合は、なんと40%近くにものぼるという。2位の緑は16.4%に過ぎない。日本代表チームのユニフォームが青であり、「アマチュア時代」の日本サッカーリーグでは、ある時期まで「青」のチームばかりだったことは、けっして偶然ではないのである。