記憶の糸をどれだけたどってみても、公式戦後の記者会見で、日本代表を率いる森保一監督がメディアの笑いを誘った場面はなかなか思い出せない。
その意味でも、埼玉スタジアムで中国代表に7-0で圧勝した、5日のアジア最終予選後の会見は異彩を放っていた。2026年の北中米W杯を含めた日本の未来へ、最終ラインを託せる逸材のデビューが嬉しくてたまらなかったのだろう。
「一昨日までは、彼のことを19歳だとは思っていませんでした」
森保監督が苦笑しながら“彼”と言及したのは、中国戦前日の4日が20歳の誕生日だった川崎フロンターレのDF高井幸大。ベスト8で敗退したパリ五輪でも存在感を放ったホープが、中国戦でA代表デビューを果たしたのは71分だった。
板倉滉に代わる3バックの右センターバックとして、高井は5万人を超える大観衆に見つめられる埼玉スタジアムのピッチへ足を踏み入れた。その際の様子を詳細に振り返った指揮官の言葉も、再びメディアの笑いを誘っている。
「そのときにすごく笑顔を浮かべていました。普通だと(緊張で)顔が引きつってもおかしくないのに、と思いながら彼を送り出しました」