■1試合で1チームに「30回」ある機会
ロングスローインと見せかけてクロスを上げる選手につなぐこの形も、町田が入念に準備し、今季もたまに見せてきた。青森山田高校も、ロングスローに織り交ぜてときどき使う。だが、これほど鮮やかに決まるとは…。
1試合の中で、スローインは1チームにつき30回ほどあるという。それを生かすことができれば大きなチャンスにつながるが、多くのチームは、ただ寄ってきた選手に入れ、リターンさせるが、その後相手に詰められて苦し紛れに蹴ってしまうという形が多い。そして、時にはそこをブロックされて逆にピンチになったりする。
投げる選手が遠距離を走っていったり、タオルを取り出してボールを拭うなど、ロングスローは時間がかかることが多い。それが何回も繰り返されるのは少しうんざりするが、黒田という監督、町田というチームがこうした「細かなこと」をおろそかにせず、考え抜いて試合に取り組んでいることは称賛に値する。
町田は、まさに「スローを武器に」したのである。