■引き分けは「悪い結果」ではなかったが…
おそらく、こうしたいくつかの要因が複合的に絡み合ったのだろう。
横浜FCは最終ラインからのロングボールが有効だった。右からガブリエウ、ンドカ・ボニフェイス、福森晃斗の3人のDFのどこからでも長距離パスが伸びて長崎の守備陣を悩ませた。
とくに、セットプレーもすべて任されている福森の左足は強力で、ボールを保持すると3人のDFのラインを離れて中盤に上がってMF陣をサポートしてパスを回し、そして、相手ゴールに正確なクロスを上げてくる。
逆に、押され気味の長崎とすれば、福森が上がった後のスペースが狙い目となった。
ロングボールを使ってトップのエジカル・ジュニオや右サイドのマルコス・ギリェルメを走らせ、右サイドバックの青木義孝がサポートして、少ないチャンスから突破を図る。
後半に入ると、さらに横浜FCがゲームを支配した。そして、後半は右ウィングバックの山根永遠からのクロスが有効で決定機を作り続けた。だが、横浜FCのシュートは最後まで枠を捉えられないままだった。
長崎の下平隆宏監督も試合が劣勢だったことを認め、最後は「この内容なら、アウェーでの引き分けも善し」と考えたようだった。
たしかに、横浜FCとの一戦だけを考えれば、引き分けは悪い結果ではなかった。
しかし、攻撃がうまく機能しなかったことは事実。その原因をはっきりさせて修正を急がなくてはならないだろう。「メンバーを固定して戦ってきて、相手に研究されているので、メンバーやシステムをいじった」といった趣旨の話もあったが、リーグ戦の終盤、これまでのやり方を継続するのか、新しい戦い方に挑むのか、重要な決断となるだろう。