「次はもうフル代表しかない」
スペイン戦後に大岩剛監督も苦渋の表情を浮かべていたが、パリ五輪準々決勝敗退を余儀なくされたU-23日本代表の面々は、気持ちを奮い立たせて先を見るしかないのだ。
今大会の4試合を通して、頭抜けた存在感を示したのは、キャプテンの藤田譲瑠チマと守護神・小久保玲央ブライアン(ともにシントトロイデン)、エースFW細谷真大(柏)の3人だろう。この3人は9月から始まる2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選に挑む森保ジャパンの有力候補に名乗りを挙げたと言っていい。
まず藤田だが、”幻のゴール”となった細谷の一撃に至るスルーパスを筆頭に、鋭い一刺しで数々の決定機を演出した。攻守両面での貢献度や統率力、リーダーシップも頭抜けていた。ご存じの通り、すでに彼は2022年7月のE-1選手権でA代表入りしているが、当時よりも国際経験値を高め、技術や戦術眼、守備能力も高まっている。そこは森保一監督も認めている点ではないか。
そして小久保もスペイン戦で3失点するまでは無失点を続けており、日本のゴール前の門番として君臨した。シュートストップの鋭さと反応のよさは大いに光っており、彼が背後にいることで守備陣は大きな安心感と安定感を覚えながらプレーできたはずだ。