グループリーグでパラグアイ、マリ、イスラエルに無失点で3連勝し、勢いに乗ってパリ五輪準々決勝を迎えたU―23日本代表。しかしながら、8月2日(日本時間3日)に対峙したスペインはこれまでの相手とは比べ物にならないほど強かった。
それを痛感させたのが、試合の序盤。日本はスペインの球際や寄せの強さに跳ね返され、ボールを失ってしまう場面が目についた。
11分のフェルミン・ロペス(バルセロナ)の先制点のシーンを見ても、山本理仁(シントトロイデン)のタテパスを細谷真大(柏)が収めようとした際、後ろからエリック・ガルシア(バルセロナ)にプレスをかけられ、ボールをロスト。パブロ・バリオス(アトレチコ・マドリード)から背番号11にわたり、ペナルティエリア外側から左足を振り抜かれている。クサビが1つ受けられなかっただけで、すぐさま失点に至ってしまう”怖さ”を彼らは再認識させられたのではないか。
前半20分くらいまでは個々の強さや激しさ、スピード感に適応できず苦しんだが、そこからは徐々に感覚に慣れ、ボールを持てる状況が多くなっていった。短時間で修正したことは前向きに見ていい。その流れから物議を醸した前半40分の細谷の”幻の同点弾”が生まれる。
このシーンは日本のスローインから複数のパスがつながり、最終的には高井幸大(川崎)が左の大畑歩夢(浦和)へ展開。そこから斉藤光毅(ロンメル)に預けて大畑がリターンを受け、藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)に通り、背番号8は鋭いスルーパスをエースの細谷に供給。背番号11は背後のパウ・クバルシ(バルセロナ)を背中で確実に抑えてタメを作り、反転して右足を一閃。ここまで見事な形で1点が入ることはそうそうない。しかも相手はスペインだ。だからこそ、選手たちも「イケる」と大いに手ごたえをつかんだに違いない。