パリ五輪サッカー日本代表「準々決勝スペイン戦」3つの敗因と未来への希望(1) 日本の「素晴らしい」同点ゴールを取り消した「VARの葛藤」と細谷真大の「白シューズ」の画像
藤田譲瑠チマから細谷真大へのパスは素晴らしかったのだが…。撮影/渡辺航滋(Sony α‐1)

「オレは、こんなことをするために生まれてきたんじゃない…」
 もしVAR(ビデオ・アシスタントレフェリー)というシステムに「心」があったら、忸怩(じくじ)たる思いになっているのではないか。
 「あんなに美しいゴールをなかったことにするためにオレはいるんじゃないだけど…」
 スペインに1点を先制されて迎えた前半40分、日本が素晴らしい「同点ゴール」を決めた。

■ボールは間髪入れずに細谷真大の足元へ

 左サイドから攻め込み、斉藤光毅から戻されたボールを大畑歩夢が受ける。大畑はあわてず、インサイドのところに降りてきた三戸舜介を見ながら、その内側、相手MFフェルミン・ロペスが目を離した瞬間にスルスルと裏に上がった藤田譲瑠チマにパス。
「バイタルエリア」でパスを受けた藤田は、ワントラップすると間髪を入れずに細谷真大の足元にパス。ペナルティーエリア内ゴール正面、相手に厳しくマークされた状態で受けた細谷だったが、相手をブロックしたままゴールを背にして自分の左にボールを置くと、素早くターンしながら右足を振り抜き、ゴール左にけり込んだのだ。
 文句のつけようのないゴール…。と思われたが、モーリタニアのダハネ・ベイダ主審はなぜかスペインのキックオフを待たせる。

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