■名選手だったカシラギ監督は「引率の先生」
試合後、監督記者会見が終わって出口に向かおうとすると、ちょうどイタリア選手団がバスに向かうところで、僕の目の前をジョヴィンコが歩いていました。
クロアチア戦の当時はもう21歳になっていたはずですがが、身長160センチと小柄で童顔なのでまるで高校生のように見えました。いや、ジョヴィンコだけではありません。ジャージ姿でリュックを背負ったイタリアU-21代表は、どう見ても部活を終えたばかりの日本の高校生と同じでした。
監督はイタリア代表44試合出場という名選手、ピエールルイジ・カシラギでしたが、なんとなく引率の先生のようにも見えました。
どこの国でも、ユース年代の選手たちはそんな朴訥とした高校生っぽい雰囲気を醸し出していたのです。
1人だけ、ちょっと異色だったのはクリスティアーノ・ロナウドでした。
ポルトガルのスポルティングの、完成したばかりのトレーニング・センターを取材に行ったときに、広報の女性に「ユース年代の選手の話を聞きたい」と頼んだのです。僕としては、無名の選手たちの声を聴くつもりだったのですが、広報が連れてきたのはなんとロナウドとリカルド・クアレスマの2人だったのです。