現在、フランス・パリでオリンピックが開催されている。サッカー男子U-23日本代表は、グループステージ最終戦を残して、準々決勝進出、ベスト8入りを決めた。グループステージの戦いで見えた若きサムライブルーの強さを、サッカージャーナリスト後藤健生が解き明かす。
■「完敗を喫した」3月の強化試合
試合終盤にかなりの苦戦を強いられることになったマリ戦でも、日本は落ち着いて耐え続けることができた。
パラグアイ戦と同じように、試合開始直後に主導権を握った日本は、キックオフから1分もたたないうちに荒木遼太郎とのパス交換から細谷真大がシュートを放つチャンスを作り、11分には左から細谷が突破してCKをゲットと決定機を作った。
だが、中央を固めたマリの堅い守備に手を焼いてしまう。パスが通ったと思っても、あるいはドリブルで抜けきったと思っても、長身のマリの選手の長い脚が出てくるのだ。コロナ禍で海外遠征が制限されていたパリ・オリンピック世代は、アフリカの相手との対戦経験が不足していた。
そして、前半の終わりの時間帯からマリは、ロングボールを使って前線の選手を走らせて反撃の形を探り始めた。
3月の強化試合で戦ったときは、日本が早いタイミングでトップにボールを当てるような攻撃をテストしたため、ボール保持の時間が少なくなったこともあって、マリのスピードに翻弄されて3点を失って完敗を喫していた。