■藤枝ビジネスホテルの「朝バイキング」

 朝食を食べるのは、そのホテルの朝食が(わざわざ着替えをして、あるいは料金を払ってでも)食べに行くのに値するほど美味しいときだけです。

「美味しいかどうか、どうやって分かるんだい?」という疑問はごもっともですが、これは勘のようなもの。勘が外れたら、そのホテルでは二度と朝食は食べません。

 たとえば、静岡県の藤枝市にある某ビジネスホテル。

 静岡県では毎年夏に年代別日本代表が出場するSBSカップという大会が行われていますが、藤枝で試合があった夜には、ここに泊まることにしています。

 朝食は有料ですが、バイキング形式でアジやサバなどの焼き魚や釜揚げしらす、おでんといった静岡の名物が並んでいて、とても美味しい和式の朝食なのです。ここに泊まるときは、むしろ朝ごはんを食べるのが楽しみになります。

 20年ほど前に、タイのバンコクに行ったときによく泊まったホテルの朝食のお粥も、大変に美味でした。

「エラワンの祠(ほこら)」というのをご存じでしょうか? 高級ホテル、グランド・ハイヤット・エラワンの敷地内にあるヒンズー教のブラフマー神を祀る祠なのですが、いつも大勢の人が参拝し、奉納のために踊り子が踊っています。

 周囲は高級ホテルや高級百貨店が建ち並ぶ地域なので、日本人観光客もよく立ち寄ります。

 そんな高級ホテルが建ち並ぶその一角に、昔、「サイアム・オーキッド・イン」という安ホテルがあったのです。そして、そこで朝食に出されるお粥は絶品でした。ですから、ふだんは朝食パスの僕も、ここに泊まったときは必ずお粥を食べに行ったものです。というより、お粥が食べたいので、このホテルを選んで泊まっていました(「蹴球放浪記」第35回「バンコクで電話工事」の巻参照)。

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