【J1川崎が手にした7試合ぶりの勝利の価値(1)】GKチョン・ソンリョンがPKで仕掛けた“罠”とは……石野コーチの情報を元に、最後まで貫いた我慢の画像
川崎フロンターレのGKチョン・ソンリョン 撮影:中地拓也

 勇気を振り絞って罠を仕掛けた。3-2とリードして迎えた後半アディショナルタイムの94分。柏レイソルがPKを獲得した大ピンチで、川崎フロンターレの守護神チョン・ソンリョンは、石野智顕GKコーチの言葉を思い出していた。

「PKやFKの情報を石野コーチがいつも共有してくれて、今日も(マテウス・)サヴィオ選手が僕から見て真ん中か左に蹴ってくると。なので、ほんの少しだけ左を空けておいて、最後の最後まで我慢して先に飛ばないようにしました」

 柏のMFマテウス・サヴィオはデータ通りに、ソンリョンから見て左側を狙ってきた。しかも、コースがやや甘い。完璧に阻止したソンリョンは次の瞬間、駆け寄ってきたMF大島僚太やMF瀬古樹らに鬼気迫る表情で何かを叫んでいた。

 こぼれ球に柏のDF川口尚紀が真っ先に反応してクロスをあげるも、ハンドでPKを献上していたMF橘田健人がブロック。状況が右CKに変わっていたからだ。

「みんなが『よくやった』と言ってきたけど、そんなに時間もなく、次のCKへの準備をしなきゃいけなかったので。そのなかで最後まで集中できたと思います」

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