■「信じて次へ準備し続けるしかない」

 柏のホーム、三協フロンテア柏スタジアムに乗り込んだ20日のJ1第24節を、川崎は6戦連続で白星なし、直近の5試合はすべて引き分ける苦境で迎えていた。

 しかも前節までの4戦は、すべて75分以降に追いつかれていた。理由は明白。追加点を奪えないまま、前半から飛ばしていた反動で後半に失速する。降格圏のチームに勝ち点差で迫られていたなかで、ソンリョンは必死に前を向いていた。

「自信がなければ、10連敗とかしている。些細というか、本当に小さな運や流れといったものの差だと思うので、自分たちを信じて次へ準備し続けるしかない」

 守護神の言葉通りに柏戦は違った。開始4分。左膝半月板損傷から約3カ月半ぶりに復帰したDF三浦颯太のクロスを、FW山田新がボレーで合わせて先制した。

「怪我人を含めて、みんなが少しずつ戻ってきて、チームがひとつになっている」

 ベンチ入りメンバーでは最年長の39歳のソンリョンも、J2ヴァンフォーレ甲府から今シーズンに加入した三浦のJ1初アシストを喜ぶ。わずか6分後の10分には、FW家長昭博が右からあげたクロスに再び山田が今度は頭で合わせた。

 喉から手が出るほどほしかった追加点を、あっという間に奪った2分後。左サイドからサヴィオが放った直接FKを、ファーでDFジエゴが折り返したゴール前。MF白井永地が頭で流し込んだ一撃を、ソンリョンは阻止できなかった。

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