大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第141回【8大会連続へ「サッカーW杯出場」のハードルは上がったのか】(2)フランス大会を「棄権」、W杯&五輪の「新ルール」とイングランド大会の「大問題」の画像
オリンピック世代だが、ワールドカップ出場経験のある久保建英。「W杯に出場した選手は五輪に出場できない」というルールならば、そもそも…。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は、8.333…枠に入る確率。

■予選を経て出場権を得た「アジア最初のチーム」

 続く1938年フランス大会には、アジアから日本とオランダ領東インド(現在のインドネシア)の2チームがエントリー。1936年のベルリン・オリンピックで優勝候補のスウェーデンを破り、ベスト8に進出した日本は、初出場の可能性が濃厚だったが、前年7月に始まった日中戦争の激化により予選出場を棄権し、最終的にオランダ領東インドは予選を戦わずに出場権を得た。

 第二次大戦後、1950年にブラジルで再開されたワールドカップ。日本はこの大会直前までFIFAから除名されており、アジアからは6か国がエントリー、4か国が棄権、「近東」という区分で欧州予選に入れられたイスラエルとシリアは敗退した。

 1954年スイス大会で、日本は初めて「アジア予選」を戦う。南ベトナムとインドはエントリーに遅れて予選出場を認められず、台湾は棄権、残ったのは日本と韓国だけになってしまった。「最初の予選」にして「最終予選」である。韓国がまだ日本人の入国を認めていなかったため、試合は2試合とも東京で行われ、第1戦1-5、第2戦2-2。韓国は予選を勝ち抜いてワールドカップに出場したアジアで最初のチームとなった。

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