■後半は守勢一方となり…

 仙台が喫した失点は、ファーサイドからの折り返しがGK林彰洋の頭上を越えるややアンラッキーなものだった。そこからの3連続弾は見事で、前半の戦いぶりは評価できるものだっただろう。

 しかし、後半は戦況が一変する。開始早々に栃木FW宮崎鴻のヘディングシュートで1点差に詰め寄られると、試合の流れそのものを持っていかれる。栃木の両ウイングバックが高い位置を取ってくるため、仙台の両サイドハーフが自陣に引きずり込まれ、2トップとの距離が遠くなってしまう。中島と郷家はサポートを得られず、仙台は前線に起点を作れないのだ。自陣から抜け出せない時間帯が続く。

 森山監督は73分にDF高田椋汰、MF松下佳貴、MF有田恵人を投入するが、試合の流れは変わらない。3バックとボランチに縦パスを刺し込まれ、内側を閉じるとウイングバックにスペースを与えるという悪循環から、どうしても抜け出せないのだ。83分にはCKから宮崎にヘディングシュートを決められたが、直前にファウルがあったとして辛うじてリードを保つ。後半はワンサイドと言っていいぐらいに押し込まれたが、仙台はどうにか3対2で逃げ切った。

 試合後のフラッシュインタビューに応じた森山監督は、「とてつもなく長い後半の45分でした」と切り出し、「後半の入りで相手を勢いに乗せてしまった。耐えるのは得意なところではありますけど、やっぱり2点差で勝ち切らないといけない」と続けた。

 経験豊富な小林監督を迎えた栃木が、建て直しをはかっているのは間違いない。栃木は順位を上げてくるだろう。

 それにしても、である。後半の試合運びは課題だ。4位のファジアーノ岡山清水エスパルスに敗れたため、仙台は岡山を抜いて4位に浮上した。次節はその岡山とのアウェイゲームだ。勝点差1の6ポイントマッチは、トップ3に食らいついていけるかどうかの重要な一戦となる。

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