■アポロ宇宙船が持ち帰った「月面の石」
さて、前回の大阪万博が開かれた1970年は、僕が高校3年生のときでした。
万博自体にも興味はありましたし、とくにアメリカ館に展示されている「月の石」は、ぜひ見てみたいと思いました。アメリカのアポロ宇宙船が持ち帰った月面の石のサンプルが展示されていたのです。
でも、そのためにわざわざ大阪まで行くのも億劫です……。
と迷っているとき、ポルトガルの強豪ベンフィカが来日するという発表がありました。
ベンフィカは、皆さんご承知のように、ポルトガルで最も人気の高いクラブ。とくに、注目は1966年のワールドカップ・イングランド大会の得点王エウゼビオです。モザンビークの首都ロレンソ・マルケス(現在のマプト)生まれのエウゼビオは、現地のスポルティングの下部組織で育ちましたが、両クラブ間の激しい争奪戦の結果、ベンフィカと契約。アフリカに広大な海外領土を持っていたポルトガルには、その他にも大勢のアフリカ系の選手がいました。