■38歳・青山敏弘の存在

 そんな時だけに、38歳の青山敏弘の存在がより大きくなるのではないか。

「彼は背中で示していますよね。ホントにプロフェッショナルなんで。ああいう選手が1人いるっていうのは、試合に出る出ないに関わらず、若い選手にとって素晴らしいことだと思います」と塩谷は神妙な面持ちで語っていたが、出番が少なくても日々のトレーニングを120%の力でこなす元日本代表の振舞いは必ずいい刺激になるはずだ。

「アオさんの振舞いを見ていたら、僕らは絶対に手を抜けない」と今季ベンチが多かった野津田も6月9日のYBCルヴァンカップ・FC東京戦の際に語っていた。そういう大ベテランが天皇杯・FCバレイン下関戦に続いてピッチに立てば、チーム全体をピリッとさせる活力になるのではないか。

 いずれにしても、広島は今、ここで踏み止まらなければいけない。2年連続J1・3位というチームだけに、これまで同様、復調してくる可能性は大だが、今季は秋からAFCチャンピオンズリーグACL)2が控えている。日程もよりタイトになるだけに、選手層の上積みは必須。指揮官の手腕、チームの補強含めて、今後の動向を注視していきたいものである。

(取材・文/元川悦子)

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