■「特にタテへの突破は意識した」

 一方、中村は5大リーグ初参戦ながら、序盤から伊東純也と左右のウイングを任され、早い段階で初ゴールも奪ったが、10月の日本代表のカナダ戦(新潟)でのケガで快進撃がストップ。復帰直後にはアジアカップ(カタール)に参戦し、戻ってからはスタメンを外されるケースも増加。終盤は再浮上したものの、本人にとっては浮き沈みのあるシーズンだったという。

「アジアカップの後、『もっと成長しないといけない』と強く思って取り組んだつもりです。特にタテへの突破は意識した。フランスは1対1、個の強いリーグ。中だけじゃダメだし、仕掛ける環境に身を置けているので、そこは成長していると思います」と彼自身も明確なテーマに向かって突き進んだことで、違ったストロングを備えたアタッカーへと変貌しつつある。その精度を高め、今季4点だった得点数も2ケタを目指していけば、さらなるステップアップの道も見えてくる。やはり勝負は来季なのだ。

 それ以外の欧州1年目組を見ると、鈴木彩艶シントトロイデン)と鈴木唯人(ブレンビー)のパリ五輪コンビがある程度の実績を収めたと言っていい。ただ、彼らもステップアップが期待されるだけに、問題は来季だ。新天地で目覚ましい働きを見せないと、分厚い選手層を誇る今の代表で確固たる地位は築けない。そこを肝に銘じて、若い力を爆発させてほしいものである。

(取材・文/元川悦子)

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