■「サッカー観が広がった」

 指揮官の要求に応えようと必死に取り組んだという意味では、上田綺世(フェイエノールト)と中村敬斗(スタッド・ランス)も同じ。2人とも昨夏に新天地に赴き、ベンチからのスタートを強いられている。

 上田の方は絶対的エースのサンチィアゴ・ヒメネスという高い壁に挑んでいく構図となった。アルノ・スロット監督はメキシコ人FWに絶大な信頼を寄せ、上田は途中出場、あるいは彼らが出られない時の代役という位置づけだった。それでも「上田は前のクラブ(セルクル・ブルージュ)でも数多くのゴールを奪ったし、我々の戦術を理解し、適応すれば必ず結果を残せる」と期待。細かい要求をし続けたという。

「ボールを握る戦術の監督にあまり触れてこなかった分、サッカー観が広がったと思います。(マンチェスター・)シティにしても、バルサ(バルセロナ)にしてもそうだけど、世界で強いチームのFWはそういう境遇にある。自チームがつなぐ中、FWには明確な役割があって、そのうえで自分の特徴を出さないといけない。求められているクオリティの数値に辿り着くために取り組んできたけど、かなり時間がかかった」と本人もかつてないほどのトライ&エラーを繰り返したのだ。

 その結果、今季オランダ1部では5ゴールを挙げたが、来季以降は得点王争いに参戦するくらいの存在感を示すことが必要になる。小川航基(NEC)とともにトップ争いをするような状況になれば、日本代表にとっては非常に心強い状況になるはずだ。

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