■ルヴァン杯では「ベンチ入り人数」9人に
今シーズン大きく大会方式が変わり、J1だけでなくJ3までの全クラブが出場するノックアウト方式の大会となったJリーグのルヴァンカップで、ベンチ入りの交代選手枠が9人に広げられたのは、こうした状況に対応するためと思われる。ただし、同じようにノックアウト方式の天皇杯では、すでに終了した1回戦においては交代要員は従来どおり7人のままだった。
交代要員が7人の場合、延長戦で6人の交代枠を使い切った後に脳振とうが発生した場合、控えのGKをフィールドプレーヤーとして送り出さなければならなくなる可能性が高い(その前にGKが交代している場合を除く)。天皇杯の1回戦では、控えのGKは、フィールドプレーヤー用のウェアも用意していたのだろうか。
通常で5人の交代枠の試合でも、「ベンチスタート」と俗称される交代要員の数が7人では困ることがある。リードされたまま終盤を迎えようとする試合で、残りの交代枠は1人。しかし、ベンチにいるのは控えのGKとDF2人のみというような状況がたびたび見られるのである。7人の交代枠は交代3人制」の下では十分だったが、5人になったら少なくとも9人にしないと、終盤の戦いに支障をきたすのである。
そう、現代の選手交代は、ケガや疲労困憊した選手への対応よりも、戦術的な意味合いを持つものが圧倒的に多くなっている。アタッカーを60分から70分で代えて新しい選手を送り込むのは、前線からのプレッシャーの強度を落とさないためだ。交代によるシステム変更、守備重点から攻撃重点へとシフトさせることなど、交代が戦術的な目的を持って使われることは当然のこととなった。