サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、0から最多7まで増えたもの。
■ベッカム史上「最も有名なFK」
2001年10月、マンチェスターでのワールドカップ予選に戻ろう。テディ・シェリンガムの劇的な同点ゴール直後にイングランドは再びギリシャにゴールを許し、窮地に立たされる。そして、後半アディショナルタイム。すでにゲルゼンキルヘンで行われた「ドイツ×フィンランド」の試合は0-0のままで終了し、ドイツは勝ち点1を得ている。このままイングランドが敗れればプレーオフに回ることになる。
「4分間」と示されたアディショナルタイムが2分を過ぎたとき、ロングボールを競ったシェリンガムがファウルを受け、イングランドはゴール正面28メートルでFKを得る。蹴るのはもちろん、ベッカムである。ボールは鋭く飛び、曲がり、落ちて、ギリシャゴールの左に突き刺さった。彼のキャリアで最も有名なFKである。
あまりに劇的なベッカムのゴールにより、シェリンガムの同点ゴールはやや影の薄いものになってしまった。それでも、ワールドカップ出場権をかけた試合での交代後15秒での同点ゴールは、特筆されるべき偉業と言える。