6月1日土曜日のJ1リーグ第17節、横浜F・マリノスVS鹿島アントラーズ戦に続いて翌6月2日日曜日の川崎フロンターレVS名古屋グランパス戦でも、レフェリングにまつわる問題が繰り返された。プレーする者にも、見る者にもストレスを与えるレフェリングの根源にある問題は何なのか。サッカージャーナリスト後藤健生が探る。
■判定基準が「?」なイエローが翌日も
翌日(6月2日)の川崎フロンターレ対名古屋グランパスの試合でも、判定基準について「?」と思う場面があった。
川崎が前半の家長昭博の2ゴールで2対0とリード。その後も、全体としては川崎が優勢に試合を進めていた。
そして、74分、名古屋はCKのチャンスを得た。だが、CKからのボールは川崎DFの高井幸大がヘディングでクリア。スピードのあるマルシーニョにこのボールが渡り、ドリブルに移ろうとしたところだった。名古屋の椎橋慧也は両腕を使ってマルシーニョを止めた。
もちろん、御厨貴文主審は反則を取ったが、イエローカードは提示されなかった。
川崎ベンチが激しく抗議したのは、53分に同じような場面で高井に対してカードが出されていたからだった。バフェティンビ・ゴミスのシュートがブロックされ、名古屋のキャスパー・ユンカーにボールが渡ったところを高井がシャツを引っ張って止めたプレーに対する警告だった。
だが、同じような場面で、椎橋にはカードが出なかったのだ。
そして、さらに、85分には同じように名古屋の永井謙佑の突破を止めた橘田健人にもイエローが提示された。
日本の観客は、こういう判定に対する不満については淡泊だが、ヨーロッパの観客はこういうプレーや判定に対して執拗に反応する。このような事象が起これば、試合終了まで椎橋がボールにタッチするたびに口笛が鳴り響き続けたことだろう。
Uvanceとどろきスタジアムの記者席の前で、外国人の観客が5人ほど観戦していた。ライオン・ポーズをしていたから、おそらくゴミスを見に来たのだろう。ビールを片手に熱心に川崎を応援していた。そして、彼らは椎橋に警告が出されなかった瞬間に激しく反応していた。