手薄なファーサイトに放たれた「中島のCK」
なおかつ、ニアサイドでやられたくないと考えていた磐田は、選手全体をニアサイドに寄せている。しかし、全体的に選手がニアサイドに寄りすぎていたために、ファーサイドに人数が足りていない。
ゾーンで守る場合の弱点はファーサイドにある。したがって、ニアサイドを超えてファーサイドにボールが蹴られた場合、ゴールエリア中央にヘディングで折り返されるか、今回のケースのようにシュートを打たれる可能性が高くなる。
おそらく、磐田は前知識として浦和のCKはニアサイドが多いと読んで、ニアサイドを固めたのだろう。それに対して、ニアサイドに守備をかけてくると読んだ浦和は、中島にファーサイドへのキックを蹴らせた。
磐田は、サンタナとアレクサンダー・ショルツにはマンマークで人をつかせていたのだから、ホイブラーテンにも体格のよいCBのリカルド・グラッサをつけてよかった。ニアサイドのケアはできていた分、ファーサイドが手薄になっていた。磐田にとっては、ミスマッチからの失点になった。
しかし、磐田はすぐに同点弾を決める。71分に交代してピッチに入ってきた金子翔太が、右足でボールを合わせてゴールする。
DFにとっては、クロスに対してどうやってボールをクリアするのかが難しい場面だった。
特に、体がそり返って後ろ向きになっているときに、ボールをどう返すのかが問題になる。浦和の右SB石原広教がサイドハーフの平川怜と競り合ったことから、ボールがバイタルエリアに流れてしまった。
体勢が悪いところに相手との競り合い。石原は頭をボールに当てるのが精いっぱいだった。