■放映権料440億円「踊らされる」国民
もちろん、オリンピックは日本の社会における注目度が異常なほど高く、メディア、なかでもNHKを中心としたテレビ業界は、大会前から「全力報道」の態勢をとる(注目度が高いからメディアが全力報道をするのか、テレビで毎日延べ数十時間放送するから国民がそれに引っぱられるのか、私にはよくわからない)。2022年の冬季大会(北京)と今夏のパリ大会を含めて日本のテレビ界(NHKと民放でつくる「ジャパンコンソーシアム」)が負担する放映権料は、実に440億円にのぼると報道されている(2022年3月9日、「読売オンライン」)。大会前から日本のテレビは「オリンピック一色」になり、国民はそれに踊らされることになる。
そうした国民的な「お祭り騒ぎ」のなかで、日本のサッカー男子代表がふがいない戦いぶりを見せたり、物足りない成績に終わったら、もっと言えば出場権を獲得できなかったら、日本の社会のなかにおけるサッカーという競技のイメージに、小さからぬダメージを与えるのは理解している。だが、論点を明確にするために、今回はその側面は無視することにする。