■出場権、そして優勝を引き寄せた「Jリーグ組」
さて、今回の「最終予選」で、大岩剛監督率いるU-23日本代表は、明らかに「ベストメンバー」を組むことができなかった。もし、この年代のベストチームを選べば当然のように中心選手になる、MF久保建英(レアル・ソシエダ)、GK鈴木彩艶(シントトロイデン)、FW鈴木唯人(ブレンビー)といった選手たちを選出できなかった。この大会がFIFAの定める「国際マッチカレンダー」内のものではないため、彼らが所属するクラブには「放出義務」がなかったからである。
そうした状況だったから、「U-23アジアカップ」の3位にまで与えられるオリンピックの出場権を獲得できないのではないかという懸念が、大会前には渦巻いていた。この大会に招集できた23人の内訳は、「欧州組」が5人、「Jリーグ組」が17人、「大学生」が1人だった。
欧州組は、ポルトガルのベンフィカに所属するGK小久保玲央ブライアン、ドイツ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフに所属するDF内野貴史、ドイツのベルダー・ブレーメンに所属するMF佐藤恵允、そしてベルギーのシントトロイデンに所属するMFの藤田譲瑠チマ、MF山本理仁。このうち国内リーグでコンスタントに先発出場しているのは、シントトロイデンの2人だけだった。「大学生」は筑波大のFW内野航太郎である。
GK小久保は数々の好セーブでチームを救い、MF藤田は大会の最優秀選手になったが、U-23アジアカップの激戦を戦い抜き、オリンピック出場だけでなく優勝を手にすることができたのは、何といってもチームの7割弱を占めた「Jリーグ組」の奮闘と活躍があったからだった。