試合が終わると、ガンバ大阪の宇佐美貴史は小走りを見せた。向かった先は、川崎フロンターレの家長昭博の元だ。家長はアウェイまで応援に駆け付けたサポーターの元へと挨拶に行く途中で、宇佐美から話しかける形で握手をする。このタイミングを逃してはいけないとするような宇佐美の気持ちが見えた場面だった。
その後、ミックスゾーンに姿を現した宇佐美は、逆転勝ちしたことについての気持ちを聞かれると、その家長の名前を出している。この試合は川崎が前半26分に先制。家長昭博の意表を突いたタイミングでのパスを、瀬川祐輔が頭で合わせて決めたものだったのだが、その家長のプレーと一連の流れを敵ながら賞賛するものだった。
「家長くんのひらめきというか余裕というか間合い、あのワンステップでは質の高いボールを蹴ってそこにしっかり入ってこれるっていう、フロンターレの強さというか、魅力というか、そういうのが詰まったゴールだったと思います」
その家長にボールを渡した遠野大弥のプレーもヒールパス。受け取った家長は、最初、後ろを縦に走る佐々木旭にヒールパスを送るような素振りを見せながらそれをキャンセルし、その流れでアシストにつながる浮き球パスを出していた。宇佐美は、「ペナの中にほとんど全員帰っていた中でやられてるから、もう相手を褒めるしかない」とも振り返った。