■札幌DFが振り返るあのプレー

 それでも結果的にターンされてしまった。今シーズンにいわきFCから加入し、川崎戦がJ1通算4試合目だった家泉は「プレーが軽かった」と自らを責めた。

「周りの選手が動き出して、自分の前の前を通過されたときにボールを見失ってしまった。そこで次のプレーに移らないと、と思ったときにターンされてそのままゴールを決められてしまった。相手をもっと下から見るというか、あれほど引っつかずに対応していれば、ボールを見失ったとしても、ターンされたとしてもその後についていけた。そういった経験の部分で、(ゴミスは)背負うのがうまかった」

 仏リーグアンの延べ5チームだけでなく、英プレミアリーグ、トルコ、サウジアラビアで出場した公式戦で通算355ゴールをマーク。濃密な経験を刻んできた百戦錬磨の男は、密着マークしてくる相手が陥りやすい穴をも熟知していた。

 背中越しに家泉の一挙手一投足を把握し、焦る胸中を逆手に取るような動きからゴールネットを揺らしたゴミスの本領は、これから発揮されようとしていた。

(取材・文/藤江直人)

(2)へ続く
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