【4戦無敗も3分けの川崎。勝ち切るチームへの進化とは(1)】「結果論ですけど、僕が決めていれば…」と振り返る福岡戦での決定機逸。好転するチーム状況をさらに上向かせるためにの画像
アビスパ福岡戦後に悔しそうな表情で引き上げる川崎フロンターレの選手 撮影:中地拓也

「アーーッ!!」

 ピッチに倒れこんだ遠野大弥が、起き上がるや天に向かって大きく叫んだ。川崎フロンターレアビスパ福岡とのJ1リーグ第11節での、時計の針が後半12分に差し掛かる直前だ。試合後に、遠野がこの試合で最も悔しいと明かした場面である。

 このとき、古巣対決となった背番号17は決定機を迎えた。右サイドで抜け出した脇坂泰斗がグラウンダーのクロスをゴール前に送る。ニアに走りこんだ山田新がフリックするような形で後方に流すと、そこにいたのが遠野だった。クリアしようとする相手DFよりも速度で上回って、左足で流し込もうとするもボールはクロスバーに当たる。そして無情にも、そのまま宙に浮いてゴールラインを割ったのだ。

「どんな試合でも自分の良さを出せるように、シュートの意識は持つようにはしています」

 得点への意識を強く持つ遠野にとって、福岡戦は3戦連続で先発メンバーに名を連ねた試合だった。前節からは中2日。間隔が短い中でもスタートからピッチに送り出されただけに、鬼木達監督にさらに認めてもらうためにも、何より、チームに勝利をもたらす仕事を欲する気持ちは強かった。

「ゴールが空いていたのでちゃんと流し込めば。本当に悔しい場面でした」
 あの場面の情景を浮かべながら悔しがった。

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