■「結果論ですけど、僕が決めていれば」

“たられば”はないが、もし、これが決まっていたら――。遠野は、「結果論ですけど、僕が決めていれば勝っていたのでとても悔しい」とやり場のないもどかしさを抱えていた。

 チームは後半30分に山田新のゴールで先制したものの、10分後に同点弾を許す。そしてゲーム終了のホイッスルを1-1で聞くこととなった。

 これで直近4試合は無敗。しかし、そのうち3試合は引き分けで、勝ち切ることができないでいる。

 その無敗が始まった東京ヴェルディ戦までの4試合、川崎は無得点に終わっていた。鬼木達監督が「得点を決めなければ勝てないスポーツ」と常々語るように、その4試合の結果は2分2敗。東京V戦の1試合が被っているとはいえ、一時期の不調からチームが好転しているのは確かだ。

 一方で、リーグタイトルを狙いたいチームにあって、欲しいのは勝点3。今、求められているのは勝ち切るための力だ。遠野自身が強く悔しがったのは、そういうチーム状況を変えたかったからである。勝利よりも勝ち切れない試合の方が多くなっているが、自分の力でチームを上向かせようとする気持ちはそれぞれの中で沸々と高まっている。

(取材・文/中地拓也)

(後編へ続く)

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