「自分たちの気持ち次第でどうにでもなった試合」

 水戸は83分に落合陸の豪快なシュートで同点に追いつくが、87分に藤枝のコーナーキックからまたしてもアンデルソンに逆転シュートを決められる。水戸はゾーンで守っているのだが、キーマンとなる相手選手には誰かが付く守備をする。しかし、アンデルソンを完全フリーにしてしまっては、なす術もない。こうしたプレーを目の前にして、黒川は水戸の抱える問題点に言及した。
「課題となっているクロスからの失点の多さ。そこはチームでも課題の一つとしてあげられていますけど、そもそもチームの戦術としてなのか、駆け引きとしてなのか、守れるところもあるので、もっともっと、いろいろできることがあると思うんです。
 今日の失点ですが、チームとしてはゾーンで組んでいるので、状態は悪くないというか、きちんとゾーンを作れていた。アンデルソンのほうがパワーを持っているじゃないですか。そこの個人のところで、相手のパワーを止めるというか、スピードを止める駆け引きだったり、一回アタックしてそこに行かせない。戦術とは違う個人的な駆け引きがあったほうがいい。ゾーンを組んでいるからOKとか、マンツーマンだからOKとかではなくて、ひとり1人の駆け引きのところでやっていかないといけない部分があると思うんです。
 最近、得点をとった後に失点をすることが多いですし、得点とってゼロで守れれば勝てるわけで。今日は特に、自分たちで難しくしてしまった試合でした。入りは悪い内容ではなかったので、自分たちの気持ち次第でどうにでもなった試合だったと思います」
 監督の仕事は、戦略や戦術を組み立てるだけではなく、選手のモチベーションをいかに上げていくのかも重要な仕事になってくる。と同時に、選手も黒川が述べたように「ひとり1人の駆け引きのところでやっていかないといけない部分」を個人が思考して積み上げていかなければならない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4