4月27日に行われた明治安田J2リーグの対藤枝MYFC戦を2-3で落とし、残留争いの荒波に飲み込まれた水戸ホーリーホック。この危機的な状況を打開するためには、どうすればいいのか。サッカージャーナリストの川本梅花が、藤枝MYFC戦で存在感を発揮した「流浪のアタッカー」黒川淳史への試合後のインタビューを基に徹底分析。水戸ホーリーホックの現在のチーム状況と、クラブの未来を担う「救世主」の存在を吟味する!
アンデルソンの63分逆転弾「水戸の守備陣営が崩壊」
同点弾となった52分の大曽根広汰のゴールは、水戸の2つのゆるい守備が原因となっている。藤枝のセンターハーフの新井泰貴が出したパスに、大曽根が左足でゴールに流し込む。まず、新井がフリーでボールを持てることが問題だ。フォワードの安藤が途中から気づいて追いかけてプレスに行こうとしたが時すでに遅し。水戸は4バックの最終ラインと中盤の4人のラインでブロックを作っていたのだから、ポジションを捨てて新井にプレスに行くと、自分のいた場所がフリースペースになってしまうため、無防備に前へ出られない。安藤は新井の動きに気づいていたのなら、最後まで責任を持って新井について行ってもよかった。さらに、左サイドバックの大崎は、ボールウォッチャーとなってしまって、自分の背後にいた大曽根の存在にすら気づいていない様子だった。
逆転弾となった63分、途中出場のアンデルソンが矢村健からのスルーパスを左足でゴール右隅に決めた。この場面、水戸の守備陣形は崩壊していた。4バックでブロックを作って守らなければならない状況なのに、藤枝の右タッチラインにいる大曽根に対し、ポジションを捨てて大崎が前進してプレスに行ってしまう。本来ならば、アンデルソンをマークしなければならない役割だ。フリーになったアンデルソンには山田奈央が後追いでケアしに行くことになるが、当然、間に合わない。