■「笑い話ではない」裸足サッカーで世界の頂点へ
ただし「自習」に、どれほどの成果があったのか…。ほどなくして「自習登校」の最大のモチベーションがこの「昼休みの裸足サッカー」になるのは必然だった。
「あなたは学校には自習に行っているんでしょう?」
ある朝、出がけに、友人のひとりは母親にこう言われた。
「そうだよ」
「それならなぜ、そんなに日焼けしてるの?」
返答に困った友人はこう答えた。
「そう? 登下校のときに焼けるんじゃないの?」
これは蛇足である。
しかし、「裸足サッカー」は笑い話ではないのである。それがワールドカップに出場するかどうかの話にまでなったというエピソードは、もしかすると、160年間を超すサッカーの歴史でも十指にはいる「奇談」かもしれない。1950年ワールドカップ、出場権を獲得していたインドだったが、組分け抽選会後に棄権した。その理由が裸足でのプレーを禁止したためだったという話である。