■裸足で「ボールを蹴る」人生ベスト3の至福
私が「裸足サッカー」を経験したのは、高校3年生の夏休みだった。自宅でひとりで受験勉強するなんて…と、サッカー部を中心とした何人かで相談し、学校と交渉して「自習」のために登校する許可を得た。いつもどおりに「登校」し、午前中はそれぞれに自習し、昼、弁当を食べたら、「気分転換」と称して30分間ほどみんなでサッカーに興じたのである。
私の学校には、サッカーグラウンドもあったが、校舎のすぐ目の前には、美しい芝生の陸上競技場があった。10月の運動会まで美しい状態を保つため、トラック内の芝生は、陸上競技部の部活以外は「立ち入り禁止」だった。しかし、わずか10数人の「自主登校生」は、大胆にも、その美しい芝生の上でサッカーを楽しんだのである。それも芝生を傷めないように裸足で、そして当時のサッカーボールではあまりに痛かったので、バレーボールで。
私の人生で、おそらく「ベスト3」に入るほど楽しい時間だった。裸足できれいな芝生の上を走るだけで素晴らしい快感だったし、バレーボールは思うように曲がって味方のプレーヤーに渡った。