■藤尾&佐藤を投入後「一方的な守勢」から解放
ようやく試合の流れが変わったのは、大岩剛監督が後半22分に行った2回目の選手交代、両ウイングの交代によってだった。右の山田楓喜(東京ヴェルディ)に代えて藤尾翔太(FC町田ゼルビア)、左の平河悠(FC町田ゼルビア)に代えて佐藤恵允(ヴェルダー・ブレーメン)。佐藤が果敢なインターセプトから50メートルを超すスピードドリブルで中国のペナルティーエリアに迫ると、藤尾は巧みなドリブルで攻撃を切り開いた。これによって中国は守備に帰陣しなければならなくなり、日本は「一方的守勢」から解放された。
「数的劣位」は「数的に不利」な状況かもしれない。しかし、それは必ずしも「劣勢」になることを意味しているわけではない。戦い方によっては、守備に重点を置きながらも、しっかりと試合をコントロールし、攻撃の時間を増やすことはできたはずだ。それは、自陣ゴール前での競り合い、こぼれ球の拾い合いといった「リスキー」な状況を減らすことにつながる。10人になってから佐藤と藤尾の投入まで約60分間近く、そうした状況にできなかったのは、チームとして明らかに未熟な証拠だった。