■勝ちながらの修正
ただし、視点を変えればその言葉が出て切るのも当然かもしれない。登里自身がフロンターレの中心の一人であり、そして、強くフロンターレ愛を持っていたからだ。本人も、移籍に対して「逆に自分が一番びっくりした」と話し、「フロンターレのためにっていう思いが強い中で、もちろんその特別な思いがあることは15年過ごしてきてみんな分かってくれてると思います」と、誰よりも強い気持ちを持っていたと言い切る。
試合後に話を聞いているときも、川崎のチームバスが出発することを知ると、「すいません!」と言ってそのもとに走っていったほどだ。
そんな川崎の選手からは試合前に、いくつもの警戒の声が上がっていた。元チームメイトとの対戦を楽しみにする気持ちもあり、好調なチームをけん引する躍動を知っているからだ。長く共に戦ったベテラン選手も、在籍が浅い選手も、その影響力と実力を受けているからこそ、さまざまな言葉にしていた。
そんな声があったことを伝えると、「口だけです(笑)。さんざんおごってきたんで(笑)」と一度は笑ってごまかしたが、もう一度聞くと、「まだまだ何て言うんですかね、改善点はすごくありますし、でもただ本当に今までやってきたことの積み重ねだと思う」と謙虚に話す。手応えよりも、さらなる上積みを求めるのだ。勝ちながら修正する姿勢も、やはり変わらない。