■「その力がフロンターレです」と訴えたこと
登里享平との対戦が、改めて川崎というチームのアイデンティティを思い起こさせるものにもなった。15年も所属し、チームの7度のタイトルをすべて中心選手として獲得した選手であるだけに、間違いなく良いきっかけとでき得る対戦になった。
そんな登里が、ゴール裏でサポーターに訴えたことがある。
「自分で正直、言うのもなんですけど、苦しいシーズンを過ごしていると思います。でも、フロンターレはリバウンドメンタリティだったり、サポーターが支えて戦ってきた集団ですし、その力がフロンターレです。まだまだシーズンが始まったばかりなので、信じて応援してもらえれば」
フロンターレが苦しい中でも立ち上がる力を持っていることを知っているのも、やはり登里である。その登里からポジションを奪い取ろうとし、そして、ひたすらにリスペクトしていた佐々木旭は、ヨドコウ桜スタジアムのミックスゾーンでこう口にしている。
「まだまだ全然優勝を諦めてないですし、できると思ってるんで、そこは諦めず、どんどん良くするためにチーム内で高め合ってやっていきたい」
川崎フロンターレは、何度でも立ち上がる。
(取材・文/中地拓也)