パリ・オリンピック予選前、最後の調整となる2試合が終了した。サッカーU-23日本代表は国際親善試合2試合を行い、U-23マリ代表には1-3で敗れ、同ウクライナ代表には2-0で勝利した。8大会連続の五輪出場、さらに1968年以来となるメダル獲得に向けて、若き日本代表は現在、世界と比べて、どのくらいのレベルにあるのか。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。
■守備陣が手を焼いた「世界的強豪」のスピード
さて、こうしてウクライナ戦では完勝した日本代表。あれだけ安定した戦いができるのであれば、アジア諸国との対戦では間違いなく優位に立って戦うことができる。つまりパリ・オリンピック出場権獲得に向けて明るい見通しを描くことができる。
ただ、同時にマリ戦で逆転負けを喫したことも事実だ。
マリは若手育成が進んでいる国で、年代別の世界大会では何度も上位に食い込んだ実績があり、「年代別大会の世界的強豪」と言っていい。たとえば、日本がラウンド16で敗退した昨年のU-17ワールドカップ・インドネシア大会でも、マリは3位に入っている。
そして、マリは昨年のU-23アフリカ・ネーションズカップでも3位決定戦でギニアを下し、五輪出場を決めているのだ。マリが育成に成功した秘密はフランスとのつながりにあるし、フランス生まれの選手もいる。それだけに、パリ開催のオリンピックではマリが上位進出を果たしても、けっして不思議はない。
実際、マリの選手は非常にスピードがあり、高速の中でも正確にボールを扱うテクニックを持っており、日本の守備陣はこのスピードに手を焼くこととなった。