■「一度は国立で試合を見てみたい」サポーターも…

 東京のクラブならいいというわけではない。FC東京と東京ヴェルディには味の素スタジアムという5万人クラスの立派なホームスタジアムがあり、FC町田ゼルビアには、市が15年間をかけて改修に次ぐ改修を行い、ようやく「J1基準」を満たす収容1万5498人となった「町田GIONスタジアム」がある。ホームスタジアムなら自転車に乗って行けるファン・サポーターが、国立開催となったら電車を乗り継いで1時間以上の移動を余儀なくされているかもしれない。

 今季、東京Vの国立でのホームゲームは開幕節の横浜F・マリノス戦だけだが、FC東京と町田は4試合ずつ組まれている。19試合のうちの4試合は、けっして小さな割合ではない。そのメリットよりも、ホームタウンに与える長期的なダメージのほうが大きくなるのではないか。

「一度は国立競技場で試合を見てみたい」とうファン・サポーターも、2回目、3回目となったら、そのモチベーションは薄れていく。私は、今季Jリーグが「THE国立DAY」と銘打った13試合を展開する中で、必ずその傾向が強くなっていくと考えている。「5万人」を落とさないために、「ただ券バラまき」が拡大するのだろうか。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4