■皮肉すぎる現象「交代後の同点弾」
これは選手の配置がどうこうとか、相手の対策がどうこうという問題ではない。
ポジションの変化もなければ運動量もないのであれば、相手にとってはプレスをかける絶好のターゲットになってしまう。グスタフソンが狙われるのは当然のことだ。
何しろ、Jリーグというのは相手を分析して対策を立て、その戦術を選手が忠実にこなすことに長けているリーグなのだ。
東京V戦で浦和が猛攻を仕掛け、そして最後にPKをゲットして追いついたのは、82分にグスタフソンが交代で退いた後だった。グスタフソンが不在になることによって「グスタフソン経由」というパス回しの制約が取り払われて、選手たちが自由に(即興的に)戦えるようになってから浦和の攻撃が明らかにスピードアップした。ある意味で非常に皮肉な現象だった。
グスタフソンという選手は、たしかにテクニックがあり、また戦術眼も持っている。だが、彼がベストの状態になったときに、どれだけ動けるのかは未知数だし、周囲の選手がグスタフソン経由の攻撃の形を完全に理解して、その上で変化を付けられるようになるまで、どのくらいの時間がかかるのかも分からない。
ヘグモ監督の指導力も試されるが、浦和にとって難しい状況がしばらく続くことは間違いないだろう。