春到来を前に、日本のサッカーシーズンが本格的に幕を開けた。男子はJリーグが開幕し、女子のWEリーグもパリ五輪予選の北朝鮮戦後、再開された。女子チームを持っているJリーグクラブが増えているが、浦和レッズもそのひとつ。男女の試合で浮かび上がった問題点を、サッカージャーナリスト後藤健生が徹底検証する。
■東京Vに狙われたヘグモ監督「懐刀」
東京ヴェルディには一昨年から指導している城福浩監督の哲学が浸透している。前線からリスクを取ってハイプレスをかけ、思い切った展開で攻撃的な試合を展開することができている。しかも、J1に昇格して、どの試合でも「格上に対するチャレンジャー」というポジションが明確になった分、J2で戦っていた昨年よりも、さらにやることがはっきりした感もある。
そして、浦和レッズとの試合は、東京Vの選手たちにとってはプレスをかけるべきターゲットがはっきりしていたのではないか。
浦和は、今シーズンからペア=マティアス・ヘグモ監督が就任して、新たなチーム作りが始まったばかりだ。
その中心にいるのが、ヘグモ監督の懐刀とされるサミュエル・グスタフソンだ。アンカーの位置にグスタフソンを置き、攻撃のほとんどがグスタフソン経由で展開する。
しかし、グスタフソンはまだフィジカル的にも100%ではなさそうだし、周囲との関係性も十分ではない。
チームとしても、グスタフソン経由の攻撃の形を模索している段階なのだ。
そこで、選手が考えながらプレーせざるを得ないため、どうしても展開が遅くなってしまう。グスタフソン自身も動きが少ないし、グスタフソン経由の攻撃を意識することで周囲の選手の動きも十分ではない。