■2代目の「こけら落とし」でドログバが決勝点
「初代」ウェンブリーはこの後2000年のFAカップ決勝戦を最後に取り壊され、2007年にはまったく新しい「第2代」のウェンブリーが誕生する。収容9万人。一部開閉式の屋根をもつ世界最大クラスの競技場で、「初代」のようなトラックはなく、完全なサッカー専用スタジアムになっている。
通常、スタジアムは西側をメインスタンドにして、ゴール裏が南北になるように建てられる。しかし、ウェンブリーは、メインスタンドを南側に置き、北側にバックスタンド、そして東西がゴール裏になっている。その北側スタンドの屋根の重さを完全に受け止めているのが、「新ウェンブリー」をロンドンのランドマークのひとつにしている鉄骨製の巨大なアーチだ。全長315メートル、最も高いところが133メートルにもなるアーチは、北側のスタンドの屋根だけでなく、通常は南側の屋根上に収容されている東西スタンドを覆う可動式屋根の総重量の6割も支えている。
こけら落としは2007年5月19日に行われたFAカップ決勝戦、チェルシーとマンチェスター・ユナイテッドが激突し、延長後半にチェルシーのディディエ・ドログバが決勝点を挙げてチェルシーが1-0で勝利を収めた。